川島薬師(かわしまやくし)

 印内(いない)薬師、古井(ふるい)薬師と共にこの地方の三薬師(さんやくし)と呼ばれます。11月11日はお薬師さまの縁日(えんにち)で、かつては市(いち)が立ったり花火(はなび)が上げられたりして賑(にぎわ)いました。人々は、難病(なんびょう)の恐怖(きょうふ)や健康への願いは強く、お薬師さまはたいへん崇(あが)められたのです。この薬師さまには、次のような伝説(でんせつ)があります。
太郎は田の草をとったり、川から水を引いたりして忙(いそが)しい毎日(まいにち)でした。あるとき、川の上流(じょうりゅう)から仏像(ぶつぞう)らしきものが流れてきて、とてもありがたいもののように見え「お薬師さま」だと思いました。家に持ち帰り仏壇(ぶつだん)にお祀(まつ)りすると、ある夜、太郎の枕元(まくらもと)でお薬師さまが囁(ささや)かれました。「病気(びょうき)で困(こま)っている川島村の百姓衆(ひゃくしょうしゅう)を救(すく)ってあげたいのう。」このことを庄屋(しょうや)さまに話すと、村中で薬師堂(やくしどう)を建ててお祀(まつ)りすることになりました。村には病気がなくなりましたが、この話が高棚(たかたな)村まで伝わり、お薬師さまを貸して欲しいと頼(たの)まれました。太郎が川で拾(ひろ)って来たお薬師さまは、現在、高棚の薬師堂に座(すわ)っておられます。

室町時代(むろまちじだい)の仏像で市指定(ししてい)の文化財(ぶんかざい)です。