水のかんきょう学習館(みずのかんきょうがくしゅうかん)

水のかんきょう学習館

「水土里(みどり)ネット・明治用水(めいじようすい)」が運営(うんえい)する「水」、「農」、「食」、「環境」について楽(たの)しく学(まな)べる施設(しせつ)です。特に、子供(こども)たちに解(わか)りやすい解説(かいせつ)の整(ととの)った学習館です。2011(平成23)年に出来ました。

「水土里ネット」とは「明治用水土地改良区(とちかいりょうく)」の愛称です。明治用水を開削(かいさく)して、農地(のうち)を拓(ひら)き、農業(のうぎょう)を発展(はってん)させ、「日本のデンマーク」と言わせただけの水の管理(かんり)を、民間(みんかん)の組織(そしき)で経営(けいえい)し成功(せいこう)を収(おさ)めているのはここだけかと思います。

その「水土里ネット」が「水」がもとになっている「農業」を通して、食の文化(ぶんか)から自然環境(しぜんかんきょう)の大切(たいせつ)さまで教(おし)えようとしている施設が「水のかんきょう学習館」なのです。

この中で、「水を使うものは、自ら水を作れ!」と提唱(ていしょう)した人がいました。岡田菊次郎(おかだきくじろう)です。

岡田菊次郎像

水のかんきょう学習館の前に、水土里ネットの職員(しょくいん)が業務(ぎょうむ)を行(おこな)っている明治用水会館(かいかん)があります。その駐車場(ちゅうしゃじょう)の一角(いっかく)に建(た)てられています。かつては、安城駅前(あんじょうえきまえ)にありましたが、区画整理(くかくせいり)のためこちらに移(うつ)されました。

岡田菊次郎は、1867(慶応3)年、安城に生まれました。父親の影響(えいきょう)を受け、若(わか)くして政界(せいかい)に入りました。大きな業績(ぎょうせき)がたくさんありますが、第一に農林高校(のうりんこうこう)の誘致(ゆうち)、第二に明治用水の保全(ほぜん)、他には、自(みずか)ら町農会長(ちょうのうかいちょう)を引き受けて牛の畜産(ちくさん)を勧(すす)めたり、警察署(けいさつしょ)・郡役所(ぐんやくしょ)を知立(ちりゅう)から安城へ移転(いてん)し、県の農事試験場(のうじしけんじょう)や種鶏場(しゅけいじょう)・郡農会館(ぐんのうかいかん)の設立(せつりつ)などを行いました。

少々、強引(ごういん)なところもあったようです。例えば、「農林高校の誘致」では、一度(いちど)誘致反対(はんたい)で決議(けつぎ)されたものを覆(くつがえ)して、その時の町長(ちょうちょう)を辞任(じにん)に追い詰め、助役(じょやく)であった自らが町長に就任(しゅうにん)しました。それでも、「明治用水の保全」では「水を使うものは、自ら水を作れ!」と言って矢作川(やはぎがわ)の上流(じょうりゅう)に森林(しんりん)を確保(かくほ)して、森林を含(ふく)む自然を保全することで水を作る環境を考え、実行していきました。現在(げんざい)も山の無い安城市が長野県根羽村(ねばむら)で自然の環境を守る事業(じぎょう)を続けています。

今の天皇陛下(てんのうへいか)は、皇太子殿下のころ、妃殿下とご一緒にこの「水のかんきょう学習館」を行啓(ぎょうけい)されました。2014(平成26)年11月10日です。